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水産物の対中輸出再開へ : 中国の日本産水産物禁輸措置のbefore / after比べてみた

東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出が始まった2023年8月24日以降、中国は日本産水産物の全面禁輸措置をとっている。日本側は処理水の安全性と適正な放出を繰り返し説明し、禁輸措置の撤廃を求めてきた。禁輸から2年近くを経て、25年5月30日に日中両政府が輸出再開に向けた手続きに入ることで合意した。処理水放出以前の2022年の日本の水産物輸出は3873億円のうち、対中国は871億円で全体の22.5%...

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政治・外交 経済・ビジネス 社会

福島第1原発の処理水放出が日本産水産物の輸出にどれほどの影響があったのか。放出開始前年の2022年と、放出の影響をもろに受けた2024年を比較した。

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東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出が始まった2023年8月24日以降、中国は日本産水産物の全面禁輸措置をとっている。日本側は処理水の安全性と適正な放出を繰り返し説明し、禁輸措置の撤廃を求めてきた。禁輸から2年近くを経て、25年5月30日に日中両政府が輸出再開に向けた手続きに入ることで合意した。

処理水放出以前の2022年の日本の水産物輸出は3873億円のうち、対中国は871億円で全体の22.5%を占める最大の輸出先だった。通年で禁輸措置が取られていた2024年は真珠やニシキゴイなど食品以外の水産物のみの計61億円まで減少。政府や水産業界は香港や米国で新たな販路を開拓するなどの努力を重ねたが、2024年は2022年と比べて水産物輸出の総額が264億円減少した。

日本の水産物輸出先国

水産物輸出額の推移

日本の水産物輸出の主力はホタテガイ(生鮮、冷凍、冷蔵、乾燥など)で、2022年は前年比4割増の約910億円と過去最高を記録した。このうち51.3%に当たる467億円が中国向けだった。

対中国ホタテガイ輸出は、2009年はわずか7億円だったものが、2010年以降、右肩上がりの増加。日本食ブームで殻付きの生鮮ホタテが北京や上海に空輸されるようになったほか、中国の業者が日本から殻付きのホタテを輸入し、むき身にするなどして最大の需要国である米国に輸出するケースも増えていた。

23年のホタテガイ輸出の減少は処理水放出以降の4カ月強の影響がもろに出たもので、24年は対中国がゼロになった分を米国などに振り向けて、落ち込みをカバーしようとしたことが読み取れる。

ホタテ貝輸出額の推移

折しも、トランプ関税でせっかく拡大した対米輸出が危ぶまれている。中国への輸出再開で、さらなる落ち込みは回避できるか?

バナー写真 : PIXTA

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