日本の防衛費の推移 : 「1%」の枠を捨て、当面の目標は「2027年度2%」
国家安全保障戦略の目標は「2027年度2%」1976年、三木武夫内閣が軍事大国化の歯止めとして「防衛費はGNP1%枠内」を決定。87年に中曽根康弘内閣が1%枠を撤廃したものの、その後も(93年度からはGDP=国内総生産比)、予算編成において「1%」が強く意識されてきたことがグラフの折れ線から読み取れる。脱「1%」のきっかけとなったのは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻。北大西洋条約機構(...
日本で長らく守られてきた防衛費の「GDP比1%枠」が取り払われたのが2023年度予算。「2027年度2%」の目標に向けて、毎年、およそ1兆円のペースで防衛費を積み増しているが、超高齢化、人口減少などで厳しい財政運営が求められる中で、「2%」のさらに先は見通せるのか?
- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
国家安全保障戦略の目標は「2027年度2%」
1976年、三木武夫内閣が軍事大国化の歯止めとして「防衛費はGNP1%枠内」を決定。87年に中曽根康弘内閣が1%枠を撤廃したものの、その後も(93年度からはGDP=国内総生産比)、予算編成において「1%」が強く意識されてきたことがグラフの折れ線から読み取れる。
脱「1%」のきっかけとなったのは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻。北大西洋条約機構(NATO)加盟国が相次ぎ国防費を2%にすると表明したことに追随する形で、当時の岸田文雄首相が同年12月に決定した国家安全保障戦略の中で、 「防衛力の抜本的強化は一時的な支出増では対応できず、一定の支出水準を保つ必要がある。27年度に防衛力の抜本的強化とそれを補完する取り組みを合わせ、予算水準が現在の国内総生産(GDP)比2%に達するよう措置する」ことを明記した。
当初予算ベースで22年度は5兆4000億円(米軍再編関係経費含む)だった防衛費は、23年度6兆8000億円、24年度7兆9000億円とほぼ1兆円ずつ積み増しし、2025年度は前年度比9.4%増の8兆7005億円。海上保安庁予算など関連経費も含めた総額は9兆9000億円となり、22年度GDPの1.8%、25年度のGDP見通しに対しては1.6%。
【資料】
- 参議院常任委員会調査室「戦後における防衛関係費の推移」
- 財務省「令和7年度防衛関係予算のポイント」
バナー写真 : 自衛隊観閲式 / 航空自衛隊のF15自衛隊観閲式で飛行する航空自衛隊のF15戦闘機(2024年11月9日、陸上自衛隊朝霞訓練場)(時事)
Latest Nippon News (jp)
- 2025大阪・関西万博パビリオン紹介:大屋根リングやテーマ館、海外&国内パビリオンが勢ぞろい2025年大阪・関西万博が、いよいよ開幕! 158の国・地域、7つの国際機関が参加し、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、それぞれの歴史や文化、最新技術などを展示で紹介しながら、世界が抱える課題解決へ向けて共に考えていく。美しく斬新な建造物が並ぶ万博会場の中でも、各国が独自設計した「タイプA」の海外パビリオンを中心に、大屋根リングなどの主要施設、万博テーマを体現したシグネチャーパビリオン、...
- アンゴラパビリオンリズムと生命が響き合う“命のパビリオン”アフリカ南西部に位置するアンゴラのパビリオンは、4月13日の開幕日以降は技術的調整のため休館が続いていたが、6月26日に満を持してオープン。建物正面には漢字で「健康教育」というテーマを掲げており、人々の命と暮らしを守る知恵と文化を伝える。民族太鼓のビートに導かれて館内に足を踏み入れると、伝統工芸品や民族衣装にエキゾチシズムを誘われ、歌...
- 高所恐怖症の人は見ないで!スカっとしたい空中散歩ランキング―リクルート調査1位 明石海峡大橋塔頂体験ブリッジワールド(兵庫県)本州と淡路島を結ぶ全長3911メートルの世界最大級のつり橋。橋を管理する本州四国連絡高速道路が実施する「明石海峡大橋塔頂体験ブリッジワールド」では、通常は立ち入ることができない橋の主塔に上って海面から約300メートルの高さから360度のパノラマ体験ができる(人数限定の申込制。詳細はブリッジワールドサイトで確認)(PIXTA)2位 三島スカイウォー...
- 今日は何の日:6月26日藤井棋士が29連勝 史上最多更新2017(平成29)年 プロ将棋の最年少棋士、藤井聡太四段(14)が、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦で、増田康宏四段(19)に91手で勝利。プロデビュー後、負けなしの29連勝を達成し、公式戦史上歴代連勝記録の単独トップとなった。関連記事藤井聡太八冠、「叡王戦」に敗れ七冠に:タイトル戦敗北は初──歴代の棋士が打ち立てた金字塔初の女...
- 日鉄のUSスチール買収:米製造業の復興に波及効果、日米関税交渉でアピール材料にリスクはあるが、他の選択肢なし米政府や全米鉄鋼労組(USW)の抵抗で難航していた日本製鉄によるUSスチール買収は、バイデン政権からトランプ政権に変われば、「いちるの望みがある」と以前から思っていたので、不思議ではない。トランプ大統領はディール次第で「成果」を誇示さえできれば、手のひらを返す人物だからだ。この買収は、米政府が拒否権のある「黄金株」((黄金株とは、わずか1株で取締役の選任・解任など株主...
- 少子化が加速する東アジア:かつての「成長センター」も経済に陰り長く「世界の成長センター」だった東アジア国際通貨基金(IMF)の推計では、日本のGDP(国内総生産)は、2025年にインドに抜かれ、米国、中国、ドイツ、インドに次ぐ世界5位になるという。かつて 「世界の成長センター」だった東アジア。その繁栄に先鞭(せんべん)をつけたのが日本だった。1950年代半ばから70年代初めにかけて、「日本の奇跡」と呼ばれた高度経済成長を実現し、68年には西ドイツ(当時)を抜...